1、ひこうき雲 |
いよいよ開演。スクリーンでは、ユーミンとの共演依頼を受けたけれども仕事の都合で来られなかった外国人アーティストからのビデオレターが放映されている。その映像から、暗めの映像に切り替わった。と思ったら、ユーミンがピアノのほうへ歩み、ピアノに座った。あまりにも突然の登場だったので、拍手する機会を失ってしまったじゃないかー!(拍手してもユーミンには届かないんだけどね)。ユーミンがステージの登場する直前から映してくれないとダメじゃん! 静かに「ひこうき雲」を弾き始めた。青い光の中に、ユーミンの白いロングドレスとピアノの白い鍵盤が浮かびあがる。聴き慣れたユーミンの声が聞こえると、安心するなあ。癒し効果満点だ。 |
2、14番目の月 |
挨拶「みなさんこんばんは!万博の最後をみんなで静かに見送りましょう」。ステージ上にはピアノがなんと6台も設置されている。ピアニストを紹介。5人目に武部聡志さんが紹介された。いつものユーミンバンドのメンバーもいるんだ。よかった!6人目に紹介されたのは、何と松任谷正隆さん!これには、広場の観客も「おー!!!」と驚きの声を挙げていた。 2曲目は「14番目の月」。この曲は、いつもはコンサートの後半で賑やかに繰り広げられることが多いけど、今回はピアノだけなので雰囲気が全然違う。オトナっぽくって、ジャジーな感じ。このアレンジもとてもGoodだ! |
3、恋の一時間は孤独の千年 |
「えっ、ウソウソウソーーー!」。前奏を聴いたとき、思わず叫んでしまった。だって、きゅーchanが一番好きな曲なんだもん。まさか、万博で聞けるとは思わなかったよー! これも、盛り上がる曲なので、いつもはカラフルな演出なんだけど、今日はシックにまとめている。ビアノだけのアレンジって新鮮だ。でも、すごく豪華なんだよー。このアレンジのほうが、この曲の切なさ・淋しさなどの陰影を感じ取ることができるね。 きゅーchanは大はしゃぎ!立見席の特権を利用して、躍りまくる!この曲が終わるころには、手拍子に力を込めすぎたためか、手がジンジン痛くなってしまった。 |
4、Hello, my
friend |
メジャーな曲。夏の終わりの曲で季節的にもぴったり。「今年もたたみだしたストア」っていうフレーズが、万博の終焉と重なって、「終わっちゃうんだな〜」ってしみじみと感じた。過ぎ行くものを見送る物悲しさを味わえる名曲だ。 |
5、航海日誌 |
この曲は、やっぱり潮風を感じるところ(逗子)で聴くのがいいかな。でも、そよそよと吹く風と広場上空を行き交うキッコロゴンドラがいい味を出してたよ。 ユーミンは、ピアノの間をゆっくり移動しながら歌う。武部さんとはやっぱり親密そうな雰囲気を醸し出してるな。マンタさん(松任谷正隆)のピアノのところへ来ると、マンタさんのすぐ脇に立って歌っていた。離れるときに、マンタさんの肩をそっと撫でていった。やっぱり夫婦だな。(そりゃそうだ) 広場は、とても温かい雰囲気に包まれていた。 |
6、HOZHO GOH |
ここで、ギターなどのバンドメンバーが加わる。MC「次は楽しい曲をお送りします!」ということで、「ホジョンゴ」が始まった。雨乞いの儀式を歌にした曲。ユーミンは、先住民の儀式を彷彿とさせるステップで踊りながら歌っている。足が見えないほどのロングドレスなのに、器用に踊るなあ。ユーミンの背後にあるスクリーンでは、世界各国の儀式の映像が流れている。またどの映像ともこの曲はマッチするんだよねー。ユーミンファンじゃないお客さんはおそらく初めて耳にする曲だと思うけど、初めてでも楽しい気分になれたんじゃないかな〜♪ |
7、Northern
Lights |
今度は、北極に近いところが舞台だ。ステージは青緑の光包まれ、白夜のようだ。オーロラの画像がスクリーンに映し出される。美しいな〜。 歌詞が2番に移ると、スクリーンでは世界各地の大自然の画像にかわった。大自然の雄大さで、この歌もよりスケールが大きく感じたよ。伸びやかなユーミンの声が心地よい。 |
8、水の影 |
この曲は、NHKの世界遺産の番組のエンディングに使われている曲。今回のコンサートは選曲がすばらしい。 静かな曲で、ユーミンの歌声が会場いっぱいに広がる。「時は川、昨日は岸辺、人はみなゴンドラに乗り、いつか離れて思い出に手を振るの」っていう歌詞が、万博を見送るのに相応しい。間奏では、二胡の演奏者シェイ・クーさんが登場。いつもはバイオリンが独奏してる部分を二胡で演奏する。二胡独特の音の揺らぎが情緒いっぱいだ。バイオリンより良いんじゃないかな〜。大サビはユーミンの声と二胡が絡み合って、艶かしさも感じられた。 |
9、ベルベット・イースター |
ここで、再びユーミンの弾き語り。この曲は、今までのコンサートでもよく弾き語りで披露してくれているので、安心して聞くことができるねー。ユーミン高音の歌声の魅力を最大限に引き出してくれるナンバーだ。 |
10、春よ、来い (by イム・ヒョンジュ) |
今回のコンサートはアジアのアーティストとの共演ということで、ここでゲストの紹介。まずは、韓国の歌手イム・ヒョンジュさんの登場。ユーミンと一通り挨拶を交わしたあと、ユーミンに促されて観客に向かって挨拶。でも、韓国語だから、全然わかんないよ〜。イムさんが話し終えたら、ユーミン通訳しだした。「『ユーミンさん、あなた正隆さんと別れなさい。そして僕と結婚しなさい。幸せにします。』と言ってくれました」。観客は大爆笑。これには、意味が分からないはずのイムさんも「えっ!!」。ほんとは、「世界に向けた大舞台でユーミンと共演できて幸せです」っていうような内容だった。 「春よ、来い」はイムさんが韓国語で歌い、ユーミンがピアノ伴奏。イムさんは甘い声だねー。「春よ、来い」はユーミンのなかでも最も日本っぽい歌のひとつだけど、イムさんが歌っても、その情緒は変わらず感じられた。「春よ、来い」は日本的っていうよりアジア的なのかな? |
11、最後の嘘 (by ディック・リー) |
続いては、シンガポールのディック・リーさんが登場。ユーミンと英語で挨拶を交わす。都会的な雰囲気の人だね〜。 「大好きなユーミンのナンバーのなかでも、一番のお気に入りの曲を歌います」と言って、「最後の嘘」を弾き語りで披露してくれた。アレンジも歌い方も自己流で、完全に自分のものとしている歌い方だったよ。ユーミンの歌う「最後の嘘」は甘く切ないけど、ディックさんが歌うとめちゃくちゃシブくてカッコイイ!同じ曲でも、ここまで雰囲気が変わるんだー。 |
12、卒業写真 (by アミン) |
続いて、中国人のアミンさんが登場。アミンさんは日本と中国の架け橋となるべく活動している人だそうだ。日本語でユーミンとトークしたあと、ユーミンのピアノ伴奏で、「卒業写真」を歌い上げた。抜けるような澄んだ声だ。ユーミンが歌ってるのと、アレンジはいっしょなんだけど、それぞれに良さがあるねー。アミンさんが歌うと、より純粋な学生の雰囲気が出てるね。 |
13、満月のフォーチュン |
ゲストはいったん退場。再びユーミンのステージが始まる。聴き慣れた賑やかな前奏だ。「満月のフォーチュン」だな。この曲は、エスニックな演出が多いけど、今回はシンプルなステージ。白いロングドレスで清楚な雰囲気のユーミンだけど、その手先の動きは、やっぱりエスニック調。そのアンバランスがちょっとおもしろかった。 ユーミンの歌声は力強く、パワー全開だー。実は、最初の4曲ぐらいは、ちょっと声がひっくり返ってしまったりと不安定なところがあったんだけど、もうそんな心配はないね。 |
14、スラバヤ通りの妹へ |
アジアを意識したステージだから、出るかな〜?と思ってた曲だ。昔ながらの東南アジアの風景が歌いこまれている。スラバヤの女の子との交流からは、日本と東南アジアの微妙な関係がみえてくる。「やせた年寄りは責めるように私と日本に目をそむける」っていう歌詞が、アジアの国々からみた日本を象徴している。でも、全部受け止めて、お互いを分かり合おうっていう気持ちが大切。そんな意味が込められている歌だ。 サビの部分で、ゴスペルのメンバー20人ぐらいが登場。ゴスペルが加わると、めちゃくちゃ豪華になったよ!ユーミンの歌からは、周辺国との架け橋になりたいっていう思いが、強烈に伝わってきた。 |
15、SAVE OUR SHIP |
今度は「十字星」って歌詞からも窺えるように南半球の海が舞台となっている歌。どこに向かっているのか、先行きの見通しはないけれども、懸命に掻き分けて前進しようとしているような力強さがある。 この歌にも、ゴスペルが加わる。ユーミンの歌声からは“魂の叫び”って言葉がぴったりの気迫が出ている。ユーミンってこんなに歌唱力があったんだー!もう涙なしでは聴けない。これまで、何度かコンサートでこの曲を聴いているけど、こんなに気迫がこめられた「SAVE OUR SHIP」は初めてだ。万博来て良かったよ〜!!!きゅー! |
16、Saint of Love |
ゴスペル隊を呼ぶなら、やっぱりこの曲はやらなくちゃ。“無償の愛”をテーマにした曲で、ゴスペルは無くてはならない存在だ。歌い出しは静かだけど、だんだん盛り上がってくる。でも厳粛さはずっと保たれているのがこの曲の特徴。間奏では、これまた無くてはならない存在のホーミー(モンゴルで伝統的に受け継がれている喉歌。一人で同時に二つの音を出しちゃうんだからすごいよ。)を担当する嵯峨さんがモンゴルの民族衣装で登場。幻想的な雰囲気を作り出してくれた。大サビでは、この曲独特の変則手拍子が広場観覧組のお客さんの間にも広がり、愛知博会場が一体化した。 |
17、Smile again |
いよいよ、今回の万博コンサートのために作った歌の披露だ! MC「私はメッセージを全面に押し出すような歌はなく、あくまでもパーソナルな歌を作ってますので、今回も特別なことはせずパーソナルな歌を作ってみました」。ゲストの歌手イムさん・ディックさん・アミンさん、それに二胡の奏者シェイ・クーさんがユーミンを挟むように横並びに並んだ。 歌がはじまった。この歌は、空港での男女の別れのシーンを歌ったもの。別れには涙が付き物だけど、この歌の主人公はちょっと違う。もう2度と会えないだろうっていう予感を二人とも持っている。二人は国籍が違う。そして、それぞれの国には国交が無い。国どうしのいがみ合いが、個人にこんな運命をもたらすなんて…。「友達でいることすら叶わないと知っていたの 本当は」という歌詞がきゅーchanの胸を突き刺した。 ユーミンを含めた4人の歌手がそれぞれ母国語で、この歌を歌い継いでいく。日本語・英語・中国語・韓国語、歌う言語が違うことで、この詩の世界をよりリアルに感じとることができた。スクリーンには、4ヶ国語の歌詞の字幕が流れる。ユーミンは身もだえして感情を絞り出すような様子で歌う。“もう一度逢いたい”という実現不可能だからこその切実な願いが痛いほど伝わった。もう涙が止まらないよ〜。 この歌の世界は、もちろん現実に起こっているだろう。国交がありさえすれば、こんな悲劇はなかったのに。世界向けの歌というと、“平和”や“みんな仲良く”っていうスローガンを歌い上げるものが多いけど、こういう具体的な事象を歌ったもののほうが、共感できるし、実は一番強烈にメッセージを伝えられるんじゃないかなと感じた。 |