きゅーchanが見たユーミン

SHANGRILAU
〜氷の惑星〜

コンサートレポート そのU




− MC −

2回目のMC。照明は落として、ユーミンが立っているところだけ、ぼやっと照らされている。ここでは、ステージのアイスリンクについて語ってくれた。今回のコンサートには整氷班がついていて、コンサートの最中も、ずっとステージの氷を管理しているそうだ。曲ごとにいろんなアクトが展開されるため、そのアクトに合わせて、氷の状態を変化させているらしい。上のほうの席からだと、氷の上に霜がはったり、氷が水っぽくなったりするのが見えるそうだ。でも、きゅーchanの席からでは、全然わからない。で、氷の上だから、とても滑りやすいので、ユーミンも気をつけているということだ。滑るのを防ぐため、氷の状態に適した靴に履き替えていて、同じデザインでも靴底が違うらしい。でも、今までのところ、靴を履き替えているのは、全くわからなかったなあ。暗転したときに急いで履き替えているんだろうけど。それから、寒さ対策も考えていたけど、これは全く必要なかった。なぜなら、ユーミンがコンサートに燃えているから。それを聞いた観客からは大きな拍手が沸きおこった。

「また物語に戻りましょう。」ということで、コンサートの本題へ。これまでは、ユーミンのシャングリラ号を探す旅だったけど、ここからは第2章。「そろそろシャングリラ号を登場させましょう。」というユーミンの言葉を合図に、「ザザー」と波の音が響き、ステージ奥の闇の中に破れてボロボロになったマストが浮かび上がり、右手には帆先も出現した。まるで霧が晴れるように、すーっと現われた。「奥のほうで、何やら怪しいざわめきが・・・。行ってみましょう。」ということで、次の曲が開始。


♪ 輪舞曲(ロンド)

輪舞曲 リズムの良い音楽が流れ始めた。前奏を聴くだけで踊り出したくなる。船の下の出入り口から白いパーティードレスをきた女性と白いスーツを着た男性が4人ずつ現われた。女性も男性も仮面をつけている。彼らはシャングリラ号の亡霊なのだろう。ユーミンが歌い始めると、まず男性が女性を誘う。しばらくするとお互いのパートナーが決まったようだ。男性は2台の一輪車を持っていたが、1台をパートナーに手渡した。受け取った女性はユーミンの左側へ、男性は右側へ行き、一輪車に乗る。この一輪車はすごく高くて、乗ると足の位置が地上1メートルぐらいの高さになる。それを危なげなく乗りこなすからすごいんだよねー。女性は手に扇を持っていて、それが上流階級って感じを醸し出している。やがて女性も男性も真横に並んだ。そして、手を隣の人の肩に置く。見るからに不安定そう。歌が一番のサビの部分にさしかかると、横並びの状態を崩さずにぐるーっと一周する(図の【輪舞曲】はこの場面)。男性と女性の回転スピードがちゃんと合っているのがまたすばらしい。その後も、高い一輪車はアイスリンクの上を縦横無尽に走り回る。でも揃えるべきところは怖いほど全員ちゃんと揃ってるんだよね。ここまで、できるようになるまでには、想像を絶するほどの練習を積んでるんだろうなあ。

ユーミンの歌が終わりのほうにさしかかると、一輪車に乗った男性2人が、吊り輪が2つ付いた棒を持ってきた。そして、1人の女性がその棒にぶら下がり、吊り輪に両足を引っ掛けた。180度以上開脚している!やっぱり体がやわらかいんだ。その姿勢のまま、くるくる回転する。女性はスケート靴を履いたままなんだけど、回転するとき、棒を持っている男性にスケート靴の歯がかすりそうで、ちょっと心配だった。でも、そんな心配は無用!ちゃんと技を決めていく。

歌い終わったユーミンは、ステージから姿を消した。女性と男性のアクターは一輪車を降り、男女ペアでステージの四隅に社交ダンスの構えをして立った。ここで曲が終わった。


【クラウン2 〜狂った彫刻家〜】

クラウン2 優雅な音楽が静かに流れる。全曲のアクターはダンスの構えをしたまま化石のように動かなくなった。まるで彫像みたい。どうやらここは美術館のようだ。美術館の職員が1人現われ、はたきで社交ダンスの彫像のほこりを払っている。そこへお客さんが登場。職員はお客さんに椅子を薦めた。その薦めに応じ、お客さんが椅子に腰掛けたところ、椅子が底抜けてしまった。お客さんはカンカン!職員はそれを宥めながら、椅子を直し自分が座ってみて、「大丈夫!」とアピール。お客さんは恐る恐る座ってみた。今度は大丈夫のようだ。

このお客さんはこの美術館に自分の彫像を依頼していたようだ。職員は彫刻家を呼び、幕が掛けられた台を前に進めさせた。そしてお客さんの前で除幕!真っ白い彫像なんだけど、大変ユーモラスなポーズ。それを見たお客さんは仰天&怒り心頭といったふうで帰ろうとする。それを職員が宥めて、彫刻家にお客さんの希望を伝え、もう一度やり直してもらうよう説得する。職員さんは本当に大変そう。どこの世界でも、間に立つ人間が一番苦労する。

彫刻家はノミをふるいはじめる。ノミを入れると“♪ズンズン”、“♪トコトコトコ”とリズミカルな音が流れ、彫像が踊る。その踊りがまた愉快なんだ。会場から笑いの渦が沸き起こる。このクラウンアクトも最初のアクト同様、効果音と動きとの間に微塵の狂いもない。だから面白さ倍増なんだよね。

やがて、彫像の形が決まったようだ。お客さんも満足した感じで、彫像に手にしていたキセルを持たせてみる。そのとき、股の間にある前隠しの葉っぱが気になったようだ。葉っぱを取ってアソコを確認。疑問に思ったのか、もう一度葉っぱを取って確認。そして自分のモノを比較してみる。職員と彫刻家ものぞき込む。そして馬鹿にしたように大笑い。つられて観客も大笑い。それから彫像の股間を手直しする。その最中に、何と彫像が脱走し、アリーナ席を駆け巡る。他の3人は彫像を包んでいた布を持ち、彫像を追いかけて同じくアリーナへ。「それ、捕まえた!」と思ったら、それは白い服を着た観客。布に包んで拉致されかけたが、間違いに気付き無事開放。(でもこのお客さんツアーパンフを手にしていたらしく、布の中にパンフが残ってしまい、あわててクラウンの人が返しにきた。)その後、観客席に紛れ込んでいた彫像を発見し、彫刻家・職員・彫像の依頼者・それに大阪城ホールの警備員が協力して、やっと捕獲。ステージに連れかえり、台の上に据える。そして布をかぶせ、少々手直しを加えた後、もう一度除幕。「おーーーーー!」と驚く観客。そこには、黒いドレスを着たユーミンが立っていたのだ!拍手〜!(台は空洞になっていて、隠れられないし、台が置かれていた場所も出入り口があるアイスリンク中央ではなかった。いったいどうやって入れ替わったのかな?タネは全然わからなかった。)


♪ 夢の中で 〜 We are not alone,forever

夢の中で・前半ユーミンはステージ中央に立つ。クラウンアクターは退場し、入れ替わりに4人の女の子が現われ、ユーミンの後ろに一列に並んだ。そして前奏が始まると、それに合わせて、手や顔をのぞかせる。かわいい振り付けだなあ。彼女たちは恋のキューピッドなのかな?そしてユーミンが歌い始めると、社交ダンスの彫像が動き出した。足さばきも軽やかに踊っている。4組のダンスはきれいに揃っていて、くるっと回転するところなんかは、得も言われぬ華麗さが漂う。昔の貴族のダンスパーティーという雰囲気。明治の鹿鳴館のようだ(う〜ん、鹿鳴館は日本だから、ちょっと違うか。)彼らはリンクの上で、スケート靴ですべらないように踊るのって結構むずかしいんじゃないのかな。キューピッドの4人の女の子はユーミンの後方で踊っていたが、2番の歌詞にさしかかったところで、社交ダンスの4組のペアのところへそれぞれ散っていった。そして今度は男女のペアとキューピッドの3人で踊りだした。

ユーミンの歌声は甘く、文字通り夢の中にいるみたいだ。暖かい空気がホールを包む。鮮やかな赤紫の照明もバッチリ合っている。

夢の中で・後半やがて歌が終わり、後奏に入る。照明は黄色に変わる。突然、男性が柔道の巴投げの要領でペアの女性を放り上げる。女性は空中で縦に一回転し、ユーミンのそばにピタッと降り立った。4組のカップルが順に女性を放り上げていく。そしてまた順に女性が空中を舞い、元の位置へ戻っていく。元の場所に戻ったと思ったら、今度は横に回転しながら空中に上がり、ユーミンの近くへ。この光景は、まさしく夢の世界だ。思わずうっとりしてしまった。


♪ ダイアモンドの街角

数秒の暗転の後、寒々しい白い光がステージを照らす。ステージ上にはユーミンだけしかいなくなっていた。天井からは、本物の雪が舞い落ちてくる。ユーミンは静かに歌い始めた。"こんな寒い日は霧も凍って光る結晶になる"この歌詞を聴いて、改めてステージ上が氷の世界だったことを思い出した。夏なのに寒さを覚えてしまった。ユーミンは肩がむき出しの薄いドレスを着ているから、見るからに寒そう。前曲ではベールを手に掛けて持っていたのだが、この曲では、頭からすっぽり被っている。ユーミンは歌いながら、ステージの上をどこへ行くともなく、ゆっくり歩んでいる。完全に歌の世界に入り込んでいる。静かだけど、心を震わせるような情熱が伝わってくる。

2番のサビの部分で、ユーミンは歌に合わせてくるくる回転する。すると頭に被っていたベールが遠心力で広がって、とてもきれいだった。賑やかなアクトの中に、この曲のような静かな演出があると、それぞれの良さがより一層引き立つなあ。最後はステージ中央に歩んできて、歌い終わった。


♪ かんらん車

前曲を歌い終わって拍手が鳴り響く中、一呼吸ついただけで再び歌い始めた。今度もじ〜んと感動する名曲だ。ステージ中央に立つ黒いドレス姿のユーミンを白色のスポットライトが照らしている。ステージの縁からは、天井に向けて、ゆるい白色の光が伸びている。この光はスモークで拡散していて、ぼやーっとしている。この照明がとても幻想的だった。白色の照明だけで、こんなすばらしい演出ができるとは驚き。モノクロの世界の奥深さに感動した。ユーミンの歌声も心に染み入ってジンジンした。サビの部分は雄大に歌い上げる。静かな曲なんだけど、歌詞に“空が巡りはじめ”ってあるように、スケールが大きい歌なのだ。そのスケールの大きさを実感できる歌い方である。

かんらん車二番に入ると、街頭のようなオレンジの光に変わった。6人の白いコスチュームの女性がやってきて、ユーミンの周りに片膝をついた。“いつしか雪が静かに舞いながら”という歌詞からすると、彼女らは雪なのだろう。バレエのように軽やかに踊る。まさに雪の舞だ。ユーミンは歌い終わると後ろの出口から退場。ステージには6人の女性が残った。そこに天井から6つの大きなリングが降ろされてきた。リングは天井からロープ一本で吊り下げられている。彼女たちはそのリングにつかまり、後奏に合わせて自由自在に体勢を変えていく。彼女たちはみんな体が柔らかく、その動きは優雅そのもの。オレンジの光が消え、暗くなると同時に、彼女たちが光った!(図はこの場面。)コスチュームに電飾のラインが付けられているようだ。白かったはずのコスチュームは黒色に変わり、電飾だけが浮き立って見える。とてもきれい。オレンジの照明になると、またもとの白いコスチュームに、暗くなると光る。それを繰り返したあと、ステージ上に降り、片膝をついて座った。またステージが暗くなり、コスチュームの電飾が不揃いに付いたり消えたり・・・。雪がちらちら降り落ちる瞬間を見事に表現している。なんて、きれいなんだろう。すばらしすぎて、ため息がでちゃう。曲が終わると真っ暗な闇に拍手の音が鳴り響いた。


♪ リフレインが叫んでる

リフレインが叫んでる 前曲の余韻に浸っていると、激しいベースの音が鳴り響き、“どうしてどうして私たち離れてしまったのだろう”というユーミンの声が!あわててステージ上を探したがユーミンの姿が見えない。「ん?待てよ。」と落ち着いて光の差している方向を辿っていくと、ユーミンを発見!シャングリラ号の舳先に立っていたのだ。ユーミンは衣装替えをしている。今度はシャングリラ号の船長のようだ。マントを付け、海賊チックな帽子をかぶっている。帽子にはピンクの羽の飾りが付いている。ユーミンは熱唱している。身をよじらせながら歌う姿から、痛いほどの切なさが感じとられる。

サビの部分になると、濃紺の世界に紫と青の照明が激しく交錯し鋭角的な光が躍る。ユーミンの歌い方も激しさを増す。このシーンは嵐をイメージしたものだ。間奏で、ユーミンは船体中央のステージに降りてきて、2番を熱唱。会場は一気に盛り上がった。


♪ WANDERERS

WANDERERS前曲が終わると、畳み掛けるようにすぐ前奏が始まった。この曲も盛り上げの定番曲。前奏が流れはじめてすぐ、ステージで「バン!」と大きな爆発音がし、同時に黄色い光と白い煙がステージを覆った。煙が消えると、船体中央にユーミンが、船体ステージの周囲には、まばらに人影が見えた。その人影は、ボーダーシャツにバンダナ、ドクロマークを付けていることから、海賊であることがわかる。ユーミンが歌っている最中、歌の切れ目で息継ぎをした瞬間だけ、海賊たちはささっと動く。まるで「ダルマさんが転んだ」状態。それで徐々にステージの奥から手前へ、端から中央へ進んでくる。ユーミンも歌いながらいろいろポーズをとっていくんだけど、それがめちゃかっこいい!きゅー!

サビの部分になると、海賊がターザンのようにロープを使って船体ステージに乱入する。ロープをつたって移動したり、目まぐるしく動く。それも逆さ吊などアクロバティックな動きの連続技。ユーミンの振り付けもきびきびした動きでかっこいい!2番のサビではステージのあちこちで炎が上がり、もうきゅーchanは圧倒されっぱなしだ。間奏では、船上のステージからユーミンが消え、そのステージには海賊たちが出てきて、船上ステージの右から左までバック転をしながら通過していく。バック転のタイミングが全員揃っていてきれいだ。

やがて大サビの部分になり、ユーミンの一際大きな声がこだました。見上げると、ステージ奥の鉄柱の上の台にユーミンの姿発見!マントを翻しながら歌う。そのときにマントの内側の鮮やかな赤い生地が見えるのが素敵だ。この間もロープアクトやバック転が続いていたと思うんだけど、ユーミンばっかり見ていたから、他の動きを見逃してしまった。

歌い終わった後、ユーミンは鉄柱の奥に姿を消した。船上ステージでは、1人の海賊がものすごい勢いでバック転し、後奏の終了でポーズを決めた。それと同時に炎が全開!火が船体を包んだ。こうして、シャングリア号は滅びてしまったのだった・・・。


♪ 二人のパイレーツ

二人のパイレーツ夕焼けのようなやわらかな赤の照明の中、静かにイントロが流れ出した。さっきまでの海賊の侵略がうそのような静寂。ユーミンは船のステージとアイスリンクを繋いでいる真ん中の階段の上に腰掛けている。衣装は、今まで衣装からマントと帽子を取ったもので、青っぽくて燕尾になっている。アイスリンクには4人スケーターがいて、それぞれ2連凧を操っている。その凧が静かなゆったりとした雰囲気をより高めている。ユーミンも、ゆったりしっとりと歌い上げる。やがて、凧が2つになり、その凧も1枚凧に持ちかえられた。そして2つの凧を微妙にからませたりしながら、操る。スケートの流れるような動きがとても優雅だ。じっと聞き入っていると、なんの脈絡もなく“鎮魂歌”という言葉が浮かんだ。そうだ、この歌はきっと、シャングリラ号で亡くなった人へ鎮魂歌のなのだ。シャングリラ号の夢をずっと忘れないというユーミンのメッセージだ。





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